どう致しまして(600字のエッセイ)
テレビは「食」の番組ばかりだと、以前に書いたことがある。
コロナ自粛で外出の機会が減り、ますます食番組が増えた。ひとつ気になることがある。それは食番組ばかりに限らない。特に新型コロナの解説・啓発番組に多い。治療にあたっている医師、感染医学の研究者、統計学者などの専門家が番組に呼ばれる。
ひとわたり解説が終わりそうになると、司会者が「有難うございました」と引き取る。すると招かれた専門家が、同じく「有難うございました」と返す。その専門家の「有難う」が私は気になるのだ。司会が感謝を述べるのは、多忙な専門家が局に出向き、あるいはリモート出演だったにしても、貴重な時間を割き、専門の見識を述べて頂いたのだから、当然である。
実は、司会の「有難う」には「ここでアナタの出演は終わりました。次のコーナー行きますので、アナタ捌(は)けて下さい」という意味もあるのだ。
それに対して専門家が「有難うございました」と丁重に返すのは、何かヘンだ。そんなときの慣用句は「どう致しまして」である。「こんなものでお役にたてたかな」という意味で「どう致しまして」と応ずるのが真っ当ではないか。
「どう致しまして」が何か上から目線の言葉にとられ兼ねないのを避けて、全く使われなくなったのだろうか。
「有難うございます」「有難うございます」のやり取りには何か違和感がある。私だけだろうか。
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