無関心(600字のエッセイ)
昼、さして混んでいない電車に乗る。座ることができた。
あたりを見わたす。
昼間の乗客は老若男女さまざまだ。ほとんど全員がスマホを熱心に見ている。次の駅から乗り込んできた人もすぐにスマホを取り出し画面に集中している。
あたりを見回して、どんな人がいるかなどということには全く関心がない。私はそれに違和感がある。ちょっと不快である。
電車の中は一つの室内空間だ。
縁もゆかりもない人たちがそれぞれの目的地に着くのを待っている。無縁といえども、わずかな時間にせよ、一つの空間に居合わせた人たち。それがどんな顔ぶれなのか、どんな様子をしているか、まったく関心を持たなくていいのだろうか。
走る電車の中では突然に何が起こるかわからない。急停車!脱線! 突然に不審者が暴れることだってある。そんな緊急時に、助けが真っ先に必要とするのは誰だろうかとか、私より壮健そうで、手を差し伸べてくれそうな人はいるか。
そこまで事前に考えるのは大げさかもしれないが、袖振り合うも他生の縁。周囲を見わたしておいた方がよくはないか。
令和2年2月25日、コロナウイルス感染症対策の基本方針が発表された。
今ここ1、2週間が極めて重要な時期を迎えているという。電車内の様子は少しは変わるのだろうか。マスクをしている人の割合は?
それより、電車に乗ってスマホを取り出す前に、安全を確認しようとして車内を見わたす人がはたしているのだろうか。
(注)
このエッセイは2月に書いたものだ。
車内のマスク着用は100%だが、スマホもほぼ100%。かわらない。
最近の出来事 アクアラインの先、館山道で新しい渋滞が発生している。
渋滞は天気の良い休日の午前中だけだが、館山道下り、君津ICをこえて、竹岡IC手前のトンネル手前が渋滞することがある(写真)。今年3月、君津―竹岡間が1車線だったのが、長い工事期間のあと複線になった。その先が1車線になるための渋滞である。快適に走れるようになったための渋滞、やむをえないことだが、ちょっとがっかり。
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