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もてなしは田舎で
横浜の住まいはいたって古くて狭い。客を呼べない。わずかに娘と孫が来るくらいである。
駅近かのマンションなので、夕方、出かけたついでにウチに寄る。娘の目的は一食つくらずに済むから。二人用の食卓に折りたたみ椅子をだして、4人で食事。帰りの遅いダンナの分もタッパーにつめてもらって帰る。
横浜でのもてなしはこれがすべて。遠来のお客様にはホテルで。近場にあったホテルが閉館してしまい、みなとみらいまで足をのばしてもらう。
気のおけない友人、知人には千葉の田舎でもてなす。そのとき採れた野菜と地場の魚が定番。キンメに人気がある。食卓は大きい。ふつうの家の2倍はある。8人は優に座れる。
つづきの居間は家具がない。夜はそこに布団を並べる。10人分くらいは大丈夫。ただし板敷の床。そこにザコ寝である。夏なら蚊帳を張る。蚊帳は大小4張りある。実家の押入れに眠っていた蚊帳。カビ臭かったが何度も洗い、干したらよみがえった。友人からの寄贈のもある。客たちはこんな寝方は久し振りとみえて、老若男女、誰しも楽しそうに床につく。
呑兵衛の客はいつまでも食卓を離れない。蚊帳越しに早寝の友の寝姿を眺めながめつつ酒を酌み交わす。もっとも年来の友も年と見えて、12時を回わり1時を過ぎると、一人二人と蚊帳にもぐる。翌朝、みんなで蚊帳をたたみ布団をあげて、にぎやかに朝食をつくる。
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