600字のエッセイ
正月飾り
毎年正月にやってくる親戚が来なくなった。あるキリスト教に入信したので、異教の行事には参加できないのだという。
正月は宗教行事? 国の祝祭日で、国民的な慶祝行事ではあるが、宗教行事という実感がない。調べてみると、正月神というのがいて、1月1日に降臨し、しばし人間と交わり、正月を寿ぐのだという、
どんなお姿をしているのか誰も知らない。だから知名度が低い。正月神のイメージ画像がないかわりに、正月神を迎えるし「しつらえ」は多彩で、地方により変化はあるが様式はほぼ定まっている。
都会では正月飾りは町で購うものである。年末植木屋が町の要所で門松や注連飾りの店を開き、和菓子屋が大量の餅をつき売り出す。最近はスーパーマーケットで間に合わすことが出来る。
田舎ではほとんどすべて自前の調達である。ハレの飾り物だけにふだん見かける風景とちょっと異なる非日常性を演出する。門松。太い孟宗竹をスパッと斜めに切って鮮やかな白い面を見せる。松は奥山から切り出してくる。鏡餅。年に一度の餅つき。餅の白さと重量感でどんと三宝の上に収まる。裏白は単にシダを裏返して飾るだけだがそれでも普段は見かけない非日常性の演出である。
松の内を過ぎれば、餅は鏡開きで腹に収まり、あとは全部どんど焼きで灰にして、畑に帰す、究極のエコロジーである。
今年の正月かざり。だからネズミ。 来年のはこれから。
« 600字のエッセイ | トップページ | 良いお年を »


コメント