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2008年12月 5日 (金)

600字のエッセイ

 ユーモラスな母               

 正月には、兄弟姉妹がにぎやかに集まる。夜おそくまで子供の頃の失敗談に花が咲く。私に関する話題は、忘れん坊だったことである。小学生の頃、学帽を忘れ、教科書、ノートを忘れる。襟巻き、手袋はどこかにいってしまい、一冬もったことがない。その被害を姉や妹、弟がこうむった、というのである。
 困った忘れものはフンドシである。私の小学校の水練は、赤いフンドシでおこなうのが決まりだった。母は苦労して赤い布を手に入れた。それを私はどこかに忘れてしまった。もののない時代である。窮余の一策で、母は、蚊帳の上部の赤い帯をほどいてフンドシとした。蚊帳のほうには適当な布をあてた。このことは兄弟の記憶に鮮明に残っていたとみえて、ひやかしの格好の材料になった。
「忘れん坊!」「親の顔が見たい」 の大合唱になった。
 すると襖がすっと開いて、
「こんな顔ですが」
 母が絶妙なタイミングで現れた。「本当にこの子は忘れ物の天才でした。よくオチンチンだけはなくさないね、と思ったものです」そう言って、皆を笑わせた母。先年、黄泉の国に旅立った。
 今、イナカ暮らしのため、夏には蚊帳を張って寝る。蚊帳を見上げていると、母の言葉を思い出す。
「よくオチンチンをなくさないね」
 私は、おずおずと手を伸ばして、その所在を確認する。
 長じてもしばしば忘れものをするのだ。

Pb290034kamomiru

わずかに咲いた晩秋のカモミール。これをお茶にする。ずぶぬれになって帰ってきたペーターラビットに、お母さんが飲ませてあげたのが、このカモミールティ。

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コメント

ユ-モラスな母、いいエッセイですね、
やさしい笑顔のおばあちゃまを思いだしました。

健康第一ですぞ、
ムリせず、田舎暮らしを楽しんでくださいませ。
世田谷のM

投稿: masayo | 2008年12月10日 (水) 17時56分

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